ディープインパクトはやっぱり強かった

　ジャパンカップの武豊は予想通りにスタートは出遅れ気味に出てゆっくりと後方を追走。相手の手の内が分かっているだけに慌てることなく後方を淡々と追走。彼の実力を知り尽くしている武豊はロスを承知で外へ外へと彼の導き、不利さえなければ勝てると確信していた。３コーナーから４コーナーにかけていつものように彼を外目にエスコートしていく。その姿がターフビジョンに映し出されると東京競馬場を覆い尽くす観衆から大歓声が上がる。誰もが知っている、誰もが飛ぶと信じている彼の姿を。もちろんそれを臨んでいるのは彼の背中に乗っている武豊。

　直線に向くと彼だけのウィニングロードが用意され、そこを真っ直ぐ飛ぶだけ。さあ、行こうと武豊が鞭を連打すると彼もそれに応えるように飛ぶように走った。内から伸びて来た若武者が必至に追いすがろうとするが、彼の前では脇役でしかなかった。今シーズン常に脇役だった若武者は世界の舞台でも脇役に徹した。

　彼がゴールした瞬間に僕はホッとした。無事に走り抜けて良かったと。いつもの飛ぶような走りが見られて。そして、最後にもう一度彼の走りを見たいと思った。