ちょっと大げさなタイトルになってしまったが、今年の武豊は違って見えた。数字は嘘をつかないので年度別の勝利数を挙げてみると、怪我をする前の2009年は140勝、怪我をした年の2010年は69勝、翌2011年は怪我はなかったが低迷して64勝、そして昨年2012年はデビュー以来最低となる56勝で勝率も10%以下に。しかし、今年は順調に勝ち星を重ねて76勝。勝率も15.3%まで上がってきているので年間100勝が見えてきた。また、重賞勝ちも9勝と2007年以来の10勝台も見えてきた。
武豊の低迷は怪我だけではなく、騎乗馬の質にもあった。社台系を一手に引き受けた感のあった武豊だったがエージェントが馬を集めるようになってからはなかなかいい馬が回って来なくなった。そこに、安藤勝巳や岩田康誠など一流地方騎手の流入で環境が一気に厳しくなった。勝利数は2005年の212勝を境に下降の一途だし、それに合わせて勝率・連対率も下降。こうなると武豊人気も陰をひそめ、昨年などは引退説も流れた。
今年の活躍は何が変わったのか?騎乗馬を見ると相変わらず社台系のいい馬は某エージェント系の騎手に集まっているし、人気馬の騎乗数は昨年・一昨年よりもわずかに上回っているが全盛期に比べたらまだまだ。年度別の平均人気を見てみると今年は4.4人気で過去3年のなかでは一番いいが、140勝した2009年の3.0人気に比べたらまだまだ。騎乗馬に恵まれていないが勝ち星は挙がっているのは騎乗が良くなっているのではないだろうか。怪我をしたあとの騎乗フォームは素人目にも酷く映ったものだが、最近は往年の騎乗フォームに戻ってきたように思える。今は便利な世の中になったもので過去のレース映像が見られるので怪我をする前のレースと、怪我をしたあとのレースと最近のレースを見比べてみた。すると、怪我をしたあとは馬群で動けずにいたものが、最近はこじ開けるようになってきた。また、勝負どころで追い出し始めた時やゴール前に詰め寄る時の騎乗フォームが違って見えた。
復活の陰には騎乗馬の血統にもあらわれていた。種牡馬別の成績をみると今年も昨年も勝ち頭はディープインパクト産駒だが、その勝利数が大きく違う。昨年は44回騎乗して7勝、今年は42回騎乗して13勝と騎乗数はさして変わらないのに勝利数が倍近くになっている。13勝の中にはキズナの3勝も含まれている。キズナでの騎乗を見えると初戦のラジオNIKKEI杯2歳Sでは2番手からの競馬で3着。皐月賞トライアルの弥生賞では折り合いに専念する形で中団からの競馬で、直線はいい脚を使うも届かず5着。ゴール過ぎても伸びているだけに脚を余す結果に。毎日杯でも同じように後方からの競馬だったが今度はキッチリ差しきり勝ち。ダービートライアルの京都新聞杯でも後方からの競馬で大外一気の差し切り勝ちと大胆な競馬を見せた。そして、ダービーでのあの騎乗。馬の能力を完全に手の内に入れて余すことなく力を出して切ってゴールまで勝つ騎乗。こういう騎乗を見せられると復活の2文字が浮かび上がってくる。
重賞3連勝といえばトウケイヘイローもいる。こちらは逃げ切りの3連勝。脚質のまるっきり違う馬でそれぞれ3連勝。同一馬による重賞3連勝は、ディープインパクト以来の快挙。乗れているときは騎乗が神憑ってくるのでこれからが楽しみである。6日に行われる凱旋門賞ではオルフェーブルが人気になっているので、当然マークはそこに集中。こうなるとキズナにもチャンスはある。ディープインパクトで悔しい思いをした武豊がディープインパクト産駒のキズナでリベンジなるか。結果がどうあれ僕は武豊を応援したい。武豊にはまだまだ頑張ってもらわないと競馬が面白くないからね。
武豊騎手 年度別成績データ 2002/01/01~2013/09/29
武豊騎手 2012、2013年 種牡馬別勝利数一覧
武豊騎手 2012、2013年 調教師別勝利数一覧
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