ディープインパクトについてあれこれ

　有馬記念を勝ったディープインパクトは久々に出たスーパーホースではないだろうか。成績もさることながらその人気振りが凄い。昨日のニュースでも、今朝のニュースでもディープインパクトを取り上げなかった局はなかったのでは。僕が競馬を始めたのはオグリキャップのラストランの有馬記念。その時は盛り上がったような気はしたが（実際は盛り上がっていたが）馬券を初めて買っただけで盛り上がりを肌で感じることはなかった。あれから、１６年経つがディープインパクトほど世間で騒がれて、メディアに登場した馬はいなかった。ＧⅠ７勝はシンボリルドルフ、テイエムオペラオーに並ぶが、賞金ではテイエムオペラオーに次いで２位と記録では抜けた存在ではなかった。

　ディープインパクトがこれだけ騒がれるのは彼が持っているスター性だろう。血統（父サンデーサイレンス、兄姉は重賞勝ち馬）、騎手、厩舎、オーナと走る前から話題にのぼり、新馬戦を走ってみれば４馬身差の圧勝。上がり３Ｆは３３秒１とこの時期の２歳馬としてはとんでもない上がりで勝ってしまった。しかも、直線では手綱を抑える余裕さえあった。この新馬戦を見て「ダービーはこの馬で決まりだ」と早々と思った人が多かったに違いない。その後、ディープインパクトの走りはテレビや雑誌等で取り上げられているので周知の事となり、競馬ファンではない人まではディープインパクトに魅せられてしまったようだ。

　後方から外々をマクって４コーナーで先団を射程距離に置き、直線は馬場の真ん中を一直線に伸びるのがディープインパクトの競馬。こんな競馬はたまにあってもいつも出来るわけがない。でも、それが出来てしまうのがディープインパクトの凄いところであり、武豊をして「飛んだ」と言わせてしまう走りなのだろう。だけど、馬券を買う方としてはとてもリスクのある脚質で、しかも人気しているから買いにくい。単勝はいつも１倍台なので相手を絞らなければ儲けは出ない。だから、いつも頭を悩ませる存在だった。

　１頭のスターホースがいると競馬は盛り上がるが馬券の売上げは減少してしまう。強すぎる弊害と言うべきか配当妙味がないと競馬ファンは馬券を買わない。ディープインパクトにとって不運だったのはヒール役がいなかったこと。ハーツクライが有馬記念で先着はしたが、その後はジャパンカップで対戦しただけ。ディープ世代は故障馬が続出だし、５歳馬では歯が立たなかったし、３歳馬はこれから強くなるところだし。そのおかげもあってディーインパクトはその名の通り強い衝撃を我々に印象づけて去っていってしまった。シンボリルドルフを知らない世代の僕にとってはディーインパクトは最高に凄い馬だと思う。

　ディープインパクトの記録だが収得賞金でもＧⅠだけの賞金でもテイエムオペラオーの次だが人気だけはディーインパクトの方が上だった。ディーインパクトの平均人気は１．０人気で出走したＧⅠ全てで１人気だし、新馬戦から１人気というのは凄すぎる。過去２０年で調べてみてもこれほどの馬はいない。しかも、オッズは１倍台というのだから異常としかいいようがない。こういう馬はこの先何年も出てこないのだろうな。

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