武豊の不振をデータで検証

　「どうした武豊！」と言うほど今年の彼は精細が上がらない。Ｇ１・１勝、Ｇ２・４勝、Ｇ３・１勝は並の騎手ではあれば十分な成績だが、武豊に限っては物足りないと思ってしまう。昨年の同時期の成績はＧ１・３勝、Ｇ２・４勝、Ｇ３・３勝で１着数は今年の倍以上だった。確かに年明けスタートが遅かったにせよ、もっと勝てていいはず。それが何故勝てないかをＴＡＲＧＥＴで調べてみた。

　下のデータは今年の現在までの成績と昨年の総合成績。これをみると勝率、連対率、複勝率の全てが今年は悪い。しかも、生涯成績よりも悪いのだから不振と言ってもいいだろう。では何故こんなに悪いのだろうか。

　

騎手成績一覧　上位１０位　２００７年５月２０日現在

　

騎手成績一覧　上位１０位　２００６年度総合成績

　下のデータは左が２００６年、右が２００７年のデータです。上段が武豊騎手の成績で、下段が武豊騎手が騎乗したレースで共に騎乗した騎手の成績です。期間は共に３回東京２日目が終わった時点で集計しています。

　上段のデータをみると武豊騎手の１人気馬の騎乗数が減っています。また、人気順のシェアが落ちているのが分かる。１人気での成績も悪いが２人気３人気でも成績が落ちている。これでは成績が上がらないのも無理はないが、今年、これまでの１人気での騎乗数を調べると１位は武豊で１０５回、２位岩田康誠で９３回、３位横山典弘で８８回、４位安藤勝己で７４回、５位中館英二で７１回だった。と言うことは武豊は１人気に一番多く騎乗しているにもかかわらず勝ち星が少ないということだ。騎乗数が少なければ勝ち星も少ないけど上位人気での騎乗が多ければ勝ち星は自然と増えるモノ。しかも、武豊ならなおさら勝たなければいけない。

　下段のデータは武豊と同じレースに騎乗している騎手の成績だが、これをみると安藤勝己騎手は昨年よりも少ない騎乗数で勝ち星はほぼ同じ。平均人気を見ると昨年よりも上位人気に騎乗して、また確実に勝っていると言うことが分かる。岩田康誠騎手も騎乗数は変わらないが勝ち星は増えているし、平均人気も上がっている。

　これまで武豊騎手に集中的に集まっていた馬が今年は安藤勝己騎手や岩田康誠騎手に流れているのではないかと思う。それは、騎手エージェントの存在が大きいのではないだろうか。武豊騎手ひとりでひとりの騎手エージェントを使っているが、安藤勝己騎手や岩田康誠騎手は競馬ブックの記者がエージェントとなって彼らの他に四位洋文騎手、福永祐一騎手ら数名の騎手がグループになって騎乗馬を確保してもらっているらしい。ひとりの騎手に騎乗依頼をした場合、もし騎乗依頼がバッティングしたら他の騎手を探さなければいけない。それが、複数の騎手を抱えているエージェントなら振り分けることが出来る。そうした場合を考えると、勝負がかった馬がいるときは調教師も複数の騎手を抱えているエージェントに依頼するということになると思う。ただ、調教師のデータを調べるとどの騎手が主戦ということはある程度決まっているが、主戦の騎手が乗れないときはラインの騎手がのるようなことはある。騎手と調教師の関係もあるが、ワンポイントで勝負と言うときは複数の騎手を抱えたエージェントに依頼してと考えてもいいだろう。

　このようなことから、もしかしたら武豊騎手に回るはずに馬が他に行っているのではないだろうか。それでも武豊騎手ならもっと勝ってくれると思っている。そのうち巻き返しがある、と思っていたのにもうすぐ半年が経ってしまう。年間２００勝、Ｇ１最多勝利と数々の記録を塗りかえてきた武豊騎手なら後半には盛り返してくれると思う。「困った時の豊か頼み」は調教師だけではなく、馬券を買うときの僕もだ。彼も３８歳だがまだ老け込むには早い。通算３０００勝まであと９１勝。年内に達成するぐらいの勢いで頑張って貰いたい。山野浩一さんのブログ『YamanoWeb.com　■山野浩一WORKS■ : 内田騎手と武豊騎手』に気になることが書かれているが、まだまだトップで居続けて欲しいね。今年が不本意でも来年がある。

　騎手エージェントに付いては『[RBN] 面白い競馬本を買ったよ。』でちょこっと書いています。また、このような事象に詳しいsadaboさんの『【競馬ニュース】　武豊の大不振はエージェントの陰謀なのか！:sadaboの騎手・エージェント情報ブログ』もどうぞ。

　　２００６年　騎手別集計

集計期間：2006. 1. 5 ～ 2006. 5.21

　　２００７年　騎手別集計

集計期間：2007. 1.20 ～ 2007. 5.20